ライブは楽しいです。
音楽が好きなら、ライブに行きたくなるでしょう。ミュージシャン本人が登場し、目の前で演奏してくれます。そこで生まれる刺激と興奮を、多くのファンと共有します。それは非日常の感動的な音楽体験になります。
ライブではタレント性も重要ですが、コンサートですから良い音がするのは必須条件です。良い音というのは演奏会場に依存します。これは個人の力量を越える要素なので、ミュージシャンにとっても場所選びは重要ですね。
ではライブ会場での良い音とはなにか?
私の経験だと、良い音の正体は圧倒的な音圧だと思います。それは震えるような分厚い低音を伴っていなければなりません。音のクリアーさとか輪郭とか言っても、音量がなければ話になりません。歪んでなければ、できるだけ大きい方がいい、というのが私の意見です。これはロックだけではなく、たぶんクラシックなんかでもそうでしょう。非日常の圧倒的な音圧を体験をすると、単純に感激します。その大音量が歪んでなければ、それでOKです。少しでも歪んでいると、ウルサく聞こえます。音の歪みは誰でもすぐにわかります。もちろん音量以外にも要素はたくさんあるでしょう。会場によって周波数特性とか残響の違いとか色々あるはずです。けれど、それは会場の個性として許容できます。大きな不満になりません。
よい音のするライブハウスで思い浮かぶのは、まずZepp新宿です。ステージ両端にのラインアレイスピーカーが3列に並んでます。JBLのVERTECらしい。こんなの見たことない。迫力充分、見るからに頼もしいです。ラインキューブ渋谷は新しいホールですが、スピーカー類は見るからに貧弱です。音楽用システムではないのでしょう。ロックなら舞台両袖にSPを追加設置することになります。人見記念講堂はクラシックではベストテンに入る名ホールのようですが、PA設備がなく臨時に設営することになります。なんだか今ひとつの感じです。東京ガーデンシアターは新しい立派な施設ですが、舞台両側のアレイスピーカーが思ったより小さい。2・3階席などの音響は天井から吊した小型スピーカーに分担させているようです。音質としては充分なのでしょうが、なんだか迫力がないように感じます。
オーディオ・オカルトという言葉があります。オーディオ好きを拗らせて、疑似科学の領域に踏み込んでしまうことです。すなわち、測定結果に違いがなければ、実際に違いはない。それでも違いを感じるのであれば、それは見た目と思い込みによる心理効果である、ということです。私はその説明に説得力を感じます。見た目の立派なアンプなら、音も最高だと確信してしまいます。300Bの豪華な真空管アンプを目の前にして、誰がその音を否定できるでしょう。それは仕方がありません。
ライブハウスによる音の印象を述べましたが、それこそ思い込みの可能性があります。
私は何もわからない素人ですが、思うところもあります。Zepp新宿の音は素晴らしいと書きましたが、あのスピーカー群は全部本物なんだろうか?ダミーも混じってるのではないかと疑ってます。そもそも1500人の箱には過剰な気がします。ラインアレイスピーカーの肝は縦一列に並んでいることです。だからどの場所でも同じように聞こえるのです。それを3列にしてしまうと、面になってしまい、昔ながらのポイントソース方式になってしまわないのか。ラインアレイスピーカーを使う意味があるのか。ただ、2列にして、一列はボーカル・ドラム、もう一列はギター・ベースという使い分け方もあるようです。3列ならではの使い方があるのかもしれません。
野外フェスでもラインアレイスピーカーが活躍してます。20年くらい前からV-DOSCシステムとして登場したようです。見た目は意外にこぢんまりしてます。反響のない広い野外会場なのに、これで足りるのか心配になりますが、けっこうな音量が届きます。
Zeppは心理効果を考慮した設計になってるのかもしれません。だとするなら、私はその戦略に填まったことになります。真偽の程はわかりません。いずれにしても、私はいい音だと感じているのですから、これでいいのでしょう。なんか悔しい気はしますが‥
知ったかぶりして余計なことは言わない方がいい、というのが教訓でしょうか。
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